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【体験談】骨髄・末梢血幹細胞ドナー 樋口拓己さん

このページは、広報誌「BANK!BANK!」のVOL.8に掲載したインタビューを、誌面に収まらなかったエピソードを追加して再編集しています。

プロフィール



樋口拓己さん
埼玉県赤十字血液センター 献血推進一部献血課

献血バスを運転して献血の受け入れに携わる。献血する方も受け入れる方もお互いに「ありがとう」と言い合える仕事に魅力を感じている。

2015年に骨髄バンクドナー登録。

同年に末梢血幹細胞、2017年に骨髄の計2回、患者さんへの提供を経験した。

「困ったときはお互いさま」の思いでドナー登録



父親が骨髄バンクにドナー登録していたので、子どもの頃から家族で骨髄バンクのことを話題にし、「困ったときはお互いさま」という考えが自然と育まれました。 献血も学生時代からしていて、骨髄バンクのドナー登録が献血と同時にできることは献血ルームで知りました。

就職して献血の仕事をするようになり、献血会場でパンフレットを見せてもらったり、ボランティアの方から説明を受けたりしながら詳しい知識を得て、ドナー登録することを決めました。それからしばらくして2015年頃、献血会場で骨髄バンクのドナー登録を行いました。

登録後3週間で患者さんとマッチング


職場の先輩から「登録しても、提供依頼の通知はそんなにすぐにくるものじゃない」と聞いていましたし、長年登録している父にも通知は来ていませんでしたので、「とりあえず登録して、提供については通知が来てからじっくり考えればいい」と思っていたのですが、私の場合は、なんと登録後3週間ですぐに通知が来ました。
通知が来た日、父が「やっと来た!」と喜んで封筒を開けたら、私の名前が書かれていたのを見てがっかりしていました(笑)。

家族の同意もあり、その後のコーディネートはスムーズに進みました。事前検査の際に、医師からの説明で造血幹細胞についてそれまで知らなかった詳しい話が聞けて、仕事にも関係する知識が得られたので、興味津々で聞くことができました。提供をしたら、その経験は間違いなく自分の将来のためにもなると確信しました。

末梢血幹細胞採取で大きな喜びを得た



そして2015年に末梢血幹細胞を採取しました。
これは、薬を注射して末梢血(全身を流れている血液)中に造血幹細胞を移動させ、腕の血管から造血幹細胞を採取し、患者さんに移植する新しい方法です。 成分献血と同じような方法で採取するのですがまだ対応できる施設が少ないのが現状です。
実際には、患者さんの状態によって末梢血幹細胞か骨髄か、どちらが適するかを主治医が判断して決めます。

その結果、私は末梢血採取をすることになりました。
骨髄移植と末梢血幹細胞移植では性質が違うので、患者さんの症状に合わせてベストなものがすぐに提供できるように、もっともっと末梢血幹細胞が採取できる施設を増やすなど患者さんの選択肢を増やしていくことが大切なのだと、この経験を通して改めて感じました。

患者さんからの手紙に力をもらった


実際に経験してみると、採取自体は献血とほとんど変わらない印象を受けました。
また、提供時に血液内科の病棟に入院したのですが、毎日赤血球と血小板を交互に輸血している患者さんや夜ごと泣いている若い患者さんの姿などを目の当たりにし、「これが輸血医療の現場なんだ」ということを強く感じました。

移植後に、自分が末梢血幹細胞を提供した患者さんから心のこもった手書きの手紙を受け取ったときは、本当に誰かの役に立てたという実感がわき、自分もがんばろうと逆に力をもらいました。 自分の負担は少ないけれど大きなものを得られた貴重な体験であり、家族みんなでとても喜びました。 この実感が、「次に通知が来たときも断るわけにはいかない」という、提供前に抱いていた骨髄採取の恐怖感を超える使命感のようなものになった気がします。

すぐに2度目の提供



提供後、1年間は提供ができない保留期間というのがあるのですが、保留が解除されるとともにすぐに2度目の通知が届きました。 そのときはコーディネートが進む中で患者さんの都合により白紙となったのですが、その後も登録継続と同時に次の通知が届き、という繰り返しで、ドナー登録してから2年弱の間に計4回も通知が届きました。

といっても、コーディネートや保留の期間がほとんどで、患者さんとのマッチング対象になっていたのは、その2年間のうち約1ヶ月という短さでした。そして2017年夏に、今度は骨髄を提供しました。

骨髄提供も怖くなかった


以前は恐怖感を抱いていた全身麻酔による骨髄採取ですが、職場の人からは「がんばってこい」と快く送り出してもらえましたし、入院初日に麻酔科医や採取担当医と面談をして詳しい説明を聞き、不安感は拭えました。

実施する病院にもよりますが、私の場合は全身麻酔を尿道カテーテルなしで行うことができたので、術後の残尿感も少なく、痛みも想像以上に抑えられ、怖いものではありませんでした。 今は昔に比べて得られ情報も増えてきて、提供の際のリスクも抑えられるようになるなど、移植を取り巻くさまざまな環境は改善されてきていると思います。

「もし自分の家族だったら」と想像力を膨らませて



献血の仕事をしている自分としては、リスクがあるからといってやらない理由にはならないという思いは強くありました。

しかし、私も骨髄バンクのことを初めて知ってすぐに登録したわけではないので、まずは「知ること」、そして「考える時間」が大事だと思います。知らずに「献血?骨髄提供?なんだか怖い」と済ませるのではなく、少し踏み込んで「もし自分の家族が血液不足で輸血を受けられませんと言われたら」と想像力を膨らませてほしいのです。 そうしたことを考えるきっかけを与えてくれるよう、学校教育など、社会全体で「人助けの土壌」を醸成していくことも必要だと思います。

骨髄バンクのドナー登録がもっと広がれば、それだけ命が救われる人も増えると思います。登録自体は2mlの血液だけで簡単に出来るので、一人でも多くの人に登録を考えていただけると嬉しいです。

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